『東南アジアのチャイナタウン』
『東南アジアのチャイナタウン』(山下清海 著、古今書院、1987年3月25日)
2年ぐらい前に神保町の本屋「アジア文庫」で買って、そのまま読まずに本棚に入れてしまったままだったのですが、先日本棚でアジア関係の資料を探していたら、このタイトル『東南アジアのチャイナタウン』がフト目に入り、気になって読み始めたら止まらなかったです!
自分は前職で東南アジアに出張することも多々ありましたし、個人的にも東アジアが好きなので旅行にも行くのですが、どこの国に行っても確かに”チャイナタウン”が存在しています。でも、本書を読むまで、同じ”チャイナタウン”と言っても国によって違いがあって、しかも、同一区画内のチャイナタウンにも多様性があっただなんてあまり意識していなかったです。
この多様性は、元々の出所がどこだったのか?ということと、移動先の歴史や政治に影響されているようです。出所について言えば、元々の出身が、中国華南の福建省だったのか、広東省だったのか?更にその中でも、福建語を話す福建人なのか、潮州語を話す潮州人なのか(広東省の東部)、客家語を話す客家人なのか(広東省の北部)、海南語を話す海南人なのか(海南省)等等、これらの人々の割合で差異が出て来ると。
例えば、マレーシアのクアラルンプールの”チャイナタウン”は広東人が多数派、シンガポール・KL以外のマレーシア・インドネシア・フィリピンの”チャイナタウン”は福建人が多数派、タイの”チャイナタウン”は潮州人が多数派、ミャンマーの”チャイナタウン”は雲南人が多数派、というように。
それから、同一区画内の”チャイナタウン”であっても、福建人は福建人で、広東人は広東人で固まって住む傾向があるという点。同区内であっても、数メートル移動すると、聞こえてくる言語が違ってくるということがあり得るのです。中国人が同属で群れる習性は、日本人と変わらないのですね~。
また、歴史を紐解くと、福建省・広東省から上記の中国人が東南アジア地域に移動し始めたのは、帝国主義の欧米諸国が東アジアに進出してきて植民地化を始めた際の労働力”苦力”(クーリー)としてだったので、当時の宗主国の影響も受けています。
シンガポール・マレーシア・ミャンマーはイギリスの、インドネシアはオランダの、フィリピンはスペイン→アメリカの影響があります。タイは欧米列強の進出の中にあって唯一独立を維持していたので、他国とは状況が違っています。
独立後は、中華系の住民が、現地の元々の住民とどのように融和できたのかがキー。マラヤ連邦として独立したものの、中華系への迫害が元で中華系だけが再独立したシンガポール、そして残ったマレーシア。中華系が迫害を受けたインドネシア(漢字が廃止されています)。現地人との同化がうまく進んだタイとフィリピン。インド人と現地人が多数派の中で中華系の肩身が狭くなったミャンマー。
一口に”チャイナタウン”と言っても、かように多様性がある、というのが勉強になりました。
ただ、本書は、初版が1987年であり少々古いので最新の状況がカバーされていないのと、東南アジアといってもベトナム・カンボジア・ラオスが入っていないこと、それから、もっと欲を言えば、日本の”中華街”や世界中の”チャイナタウン”もカバーしてもらって、相互の関係・連携・協調体制、情報のやり取りなどについても知りたいな、と思ったところ、続編が発刊されているのを知りました。
『チャイナタウン-世界に広がる華人ネットワーク-』(山下清海、丸善ブックス、2000年8月30日)
『東南アジア華人社会と中国僑郷-華人・チャイナタウンの人文地理学的考察-』(山下清海、古今書院、2002年7月7日)
『華人社会がわかる本-中国から世界へ広がるネットワークの歴史、社会、文化-』(山下清海、明石書店、2005年4月15日)
早速、今朝、Amazon.co.jpで1番目と3番目の本を注文しました。読むのが楽しみです。
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私も東南アジアが大好きです!
ベトナムにもチャイナタウンがありますよ。
投稿: HA-NAM | 2008年5月 9日 (金) 15時40分