「東京ラブストーリー」が東アジアに与えたインパクト ~ 『グローバル・プリズム<アジアン・ドリーム>としての日本のテレビドラマ』
『グローバル・プリズム <アジアン・ドリーム>としての日本のテレビドラマ』(岩渕功一編、平凡社、2003年8月25日)
300ページあるこの本、一昨日から読み始めて、あっと言う間に読み終わりました。それほど面白かったです。
岩渕功一氏の前著『トランスナショナル・ジャパン ~アジアをつなぐポピュラー文化~』(岩渕功一著、岩波書店、2001年2月26日)は抽象的・哲学的な話が本の半分を占め、遅々として読書が進まないわりに、情報量が少なかったのとは違って、本書は具体的事例が多く、東アジア各国におけるケース・スタディが豊富で(香港・台湾・中国大陸・シンガポール・韓国・オーストラリア。残念ながら、台湾とシンガポールの章は他国の分析視座とズレてしまっているが。。。)、実務上役に立つ情報の量が多く、しかも、まるでエッセイを読むような感覚でサクサク読めました。本書で岩渕氏は「序」の部分を執筆されていますが、前著のエッセンスが凝縮されていて、これを読めば前著をすべて読む必要がないほどポイントがまとまっていて良かったです。
それにしても、あの「東京ラブストーリー」が東アジア各国にかように多大な影響を与えていようとは!「東京・・・」が当時日本で放映された時、それまでのトレンディ・ドラマとは違ってかなりのインパクトがありましたが、それが国境を越えてブレイクしていたなんて!このドラマが東アジア各国でどのように受容されていたのかは非常に興味深かったです。あの、香港の衛星テレビ局”STAR TV”が中華圏で初めて「東京ラブストーリー」を放映したのがキッカケだったのですね。
その当時、媒体・メディアとして”VCD”(後に”インターネット”)が果たした役割、それから、中華圏のトランス・ナショナルな流通ネットワークが果たした役割。
すなわち、<ローカル>で生まれた日本のトレンディ・ドラマは、”VCD”(後に”インターネット”)という媒体・メディアに乗って、東アジア<リージョン>レベルでは台湾・香港⇒中国・マレーシア・シンガポール・インドネシア・タイへと拡散し、<グローバル>的にも、トロント・ロンドンなどのチャイナ・タウンで流通・消費されて行った・・・という動線は目からウロコものでした。
1990年代、こうやって東アジア各国で大ブレイクした日本のトレンディ・ドラマは、各地のエンタメ・メディア産業にドラマ制作のベース”種子”として撒かれ、それが2000年代になって東アジア各国、特に韓国・台湾で”芽”吹いて、韓流・華流というムーブメントにつながった、という感じでしょうか。トランスナショナルに相互作用しているんですね。
この本の最終章は、オーストラリアの大学教授の論文でしたが、興味深かったのは、「”オーストラリア”と”アジア”の距離は、いまだに文化的観点において明らかに離れている。オーストラリアは、いまだに”西洋”・・・」「私はアジアに住んでいないので・・・」という表現でした。これは、東アジアの地域統合が及ぶ範囲を考える上で重要なポイントとなるでしょう。


コメント